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ライフスタイルと呼吸量を考慮した汚染物質評価システムの構築(徳弘龍太郎 2016)

研究詳細

背景

有害物質による過剰ガン発生率や非発ガン性物質による症状の出現は,多くの人によって多種多様である. この理由としてリスク指標の算出の際の1日あたりの 摂取量や,個々人の化学物質による年齢や性差等による感受性が異なるためである.取り分け,環境弱者と呼ばれる成長期である幼児や学童は感受性が高いとされる.蒲生ら 1) に代表されるように日本における平均的な各有害物質の分布からのリスク評価が行われているが,実際の地域特性,曝露者の特性に応じた評価は 発展途中である.

本研究では,世代毎に異なる生活行動による個々人のライフスタイルを表現した曝露量評価システムを構築する.なお,ここでの暴露量は空気を吸引したことによるその中に含まれる汚染物質量によって決定されるとする.その中で,生活行動によって決定される呼吸量に基づく時系列ごとの曝露量,世代別での変化を明らかにする.そして,曝露量評価システムによる一日あたりの曝露量を元にしたより精緻なリスク評価を目指す.

モデル

本研究では,2 つのモデルにより生活行動に基づく曝露モデルを表現する.

生活行動モデル

生活行動モデルは,NHK国民生活時間調査を用いて, 居住者一人ひとりの多様な生活行動を表現する. ここでは本研究室の川村ら 2) が構築したモデルをベースと している.この生活行動モデルは,各人の属性に応じて統計データに基づいた行為を選択し,生活行動スケジュールを作成するものである.

曝露行動モデル

本モデルは生活行動モデルで選択された行為に関して,それに伴う計算地域内での滞在地域決定(移動), 呼吸を表現する.そして,空気中の汚染物質濃度により,1 日あたりの曝露量を求めるものである.また,曝露量は滞在地域の汚染物質の濃度のみならず,その選択された行為に基づいた呼吸量によって曝露量が決定される.

シミュレーション実験

構築した生活行動に基づく曝露モデルを用いて,汚染物質の曝露量ではなく,空気の吸引量についての検証を行う.呼吸者(エージェント)をそれぞれの属性に対して100 人発生させる.そこで得られた呼吸量の平均値を採用する.この際,各滞在点の濃度を 1 とし曝露量 g を空気の呼吸量 m3 としている.各滞在点の汚染物質が同濃度である場合,得られた結果に濃度を 乗じることで暴露量が算出される.

実験結果より,1日あたりの呼吸量を示した結果が Fig.1 となる.ここでの呼吸量は在宅,非在宅時の呼吸別に分けて集計を行っている.結果より,性別において 1日あたりの呼吸量に大きな差異は見られないが,30代~60代にかけて在宅,非在宅時の呼吸量の割合に大きな差が見られる.本実験では各滞在場所の濃度を同値としたが,滞在場所によって汚染物質濃度が異なる ことを考慮すれば,暴露量の差が表れる可能性を示していると言える.

今後の展望と課題

本研究では,作成したモデルにより世代の特性を考慮した吸入経路による曝露を再現した.これにより,各地域の汚染物質濃度,医学的見地を利用することで暴 露量に基づくリスク評価を可能にした.また,属性ごとの滞在場所,タイミングによる曝露量を表せたことが生活行動に基づく曝露モデルの成果だと言える.

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