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シミュレーション手法による生活行動に基づく電力消費行動の分析 (川村淳貴 2015)

研究詳細

背景

次世代エネルギーシステムの構成要素の一つとして,デマンドレスポンス(DR)と呼ばれる経済的動機を付与することで需要調整する手法があり,日本では社会実証が現段階で行われている.実証実験より,電力需給が逼迫する時間帯に電力価格を意図的に上げることで,一定の削減量が見込める効果は明らかになったが,一方で需要家への影響として,需要家が削減を実現する内的メカニズムはいまだ明らかになっていない.

内的メカニズムとして,米国の実証実験における調査によって,家庭内の生活行動に影響を与えることが示唆されていることから,本研究では居住者の生活行動に着目する.生活行動を分析する手法として,アンケートやヒアリング等の実態調査が挙げられるが,実証実験の最中で十分な標本数を確保することは困難である.そこで本研究では,既存の生活行動や電力消費に関する統計調査を活用し,生活行動をモデル化することで,シミュレーション上で仮想的に社会実験を行う手法をとる.その上で,DRによる電力消費の削減を生活行動の変化の観点から分析することを目的とする.

モデル

本研究では,2つのモデルを構築することで,節電時の生活行動を表現する.

生活行動モデル

生活行動モデルは,NHK国民生活時間調査を用いて,居住者一人ひとりの多様な生活行動を表現する.本モデルでは,デマンドレスポンスに反応可能にするため,先行研究のモデルを改良し,統計データや先行研究の評価軸の観点から妥当性の検証を行った.

節電行動モデル

節電行動モデルは,節電要請時に電力コストが大きい行為ほど通常時より選択しにくいという現象を表現する.さらに,電力消費に関する統計データや実証実験から得られた知見との整合性の観点から妥当性の検証を行った.

シミュレーション実験

本モデルの有用性を検証するため,実証実験の要請時刻に則って,DR要請開始時刻をシナリオとして,ピークカット効果を算出し,生活行動の変化の観点から分析を行う.ここでは,北九州市の社会実証の環境を想定し,大きな変化が見られた主婦の生活行動の変化を考察する.

実験結果より,1世帯あたりのピークカット効果はTable 1となり,そのときの主婦の生活行動の変化はFig. 1となった.このとき,節電要請期間中の行為選択について考察を行った.

今後の展望と課題

本研究では,シミュレーション手法によってDR時の生活行動の変化を分析した.課題としては,節電行動の表現が挙げられる.本モデルでは,節電要請中に電力消費の小さい行為を優先することを表現したが,実際には節電要請前に電力消費の大きい行為を優先することも考えられる.また,節電時の行動を実際に調査することで,シミュレーション結果との整合性を確認する必要があると考えられる.

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