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社会シミュレーションを用いた地域医療連携モデルと機能評価に関する研究(眞屋 2012)

近年, OECD保健医療分野年次報告の中で, 日本の医療提供体制の特徴である, 病床数が多くて入院患者の平均在院日数が長いという点が指摘されている. 第5次医療法改正後の現在においては, 地域連携クリティカルパスの普及を通じて4疾病5事業ごとに医療連携体制を構築することが義務化され, それまで取り組まれてきた病床の総量規制と共に, 医療機能の分化・連携の促進による医療資源の効率的運用が重要視され始めている. そこで本研究では, 現行の全日制の医療連携体制についてシミュレーションモデルを通じて分析し, その評価が行える環境を構築した. そしてこの環境を用いて, 実在する二次医療圏を題材にケーススタディを行い, モデルに導入した施策が地域医療全体に与える影響について評価・分析を行った. なお、モデル構築には、社会シミュレーション言語SOARSを利用しています

2012年度 工学修士 眞屋 朋和

研究詳細

近年, OECD保健医療分野年次報告の中で, 日本の医療提供体制の特徴である, 病床数が多くて入院患者の平均在院日数が長いという点が指摘されている. これらの問題は第2次大戦後の医療の立て直しの過程で起こったものである. 病床数は, 1960年代からの医療の量的整備を主な要因として10年ごとに約30万床のペースで増加し, 1990年の約127万床をピークに以降はほぼ横ばいである. 平均在院日数は, 前述の病床の急増とほぼ同時期に, 「少子高齢化の進行」「医療技術の進歩」といった社会的背景を伴って顕在化し始めた高齢者の社会的入院を主な要因として1990年頃まで増加した. 高齢者は複合的な疾患を生じ, 経過や病院の設備に応じて適切に異なった病院で治療を受ける事が重要であるが, 地域連携クリティカルパスの概念がない段階では, クリニカルパスは一つの病院, 一つの診療科で閉じており, その結果トータルに適切な治療計画を立てる事が難しく医療資源の重複や無駄があった.

第5次医療法改正後の現在においては, 切れ目の無い医療の提供を目指し, 地域連携クリティカルパスの普及を通じて4疾病5事業ごとに医療連携体制を構築することが義務化され, それまで取り組まれてきた病床の総量規制と共に, 医療機能の分化・連携の促進による医療資源の効率的運用が重要視され始めている. そこで本研究では, 患者の行動や医療機関の負担を観測するために, 現行の二次医療圏で行われている入院に係る全日制の医療連携体制についてシミュレーションモデルを通じて分析し, その評価が行える環境を構築した. この環境を用いて, 実在する二次医療圏を題材にケーススタディを行い, モデルに導入した施策が地域医療全体に与える影響について評価・分析を行った.

モデルの妥当性に関しては, 患者の発生から各傷病の一日あたりの患者数を推計しながら統計値に合うように検証していった. また, 専門家へのヒアリングを重ねる中で, 統計上での意味とモデルに適応するときの定義や集計方法の齟齬を丁寧に潰していった. その結果, 一年間の調整期間を経た後での病床種別病床利用率が統計値に近くなった. この結果から各種別の値が統計に近い値が出ていることが分かる. このことから, 本モデルは日勤帯の通常診療の一連のプロセスを再現出来る妥当なモデルであると判断してシナリオ分析に入った.

本研究の成果としては, 日勤帯の入院に係る通常診療の患者の受療行動をモデル化することが出来, 対象とする二次医療圏の統計データを患者の発生から順に検証, 推計を重ねながら構築していくことで妥当性のあるモデルを構築した.

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