トップ > 入学案内 > 出口先生からのメッセージ

出口先生からのメッセージ

「文理融合学際的な研究室を目指す!」


出口研究室の目指す方向性

出口研究室は、文理融合学際的な学問をやりたい人のための研究室です。 文理融合や学際という言葉ははやっていますが、実際にそれを実行に移そうとすると大変です。

私は東工大の物理学科の出身ですが、その後知能システム科学の前進のシステム科学専攻で、 一般システム理論、組織理論等を学び、その後福島大学経済学部、同行政社会学部、 国際大学松下図書情報センター、同グローバルコミュニケーションセンター、中央大学商学部経営学科、 京都大学経済学研究科現代経済学講座などを点々として、東工大へと戻ってきました。

文理融合というのは、特定の学問のスタイルがあるのではなく、自ら知の境界を設けるのをやめる事のできる態度をいいます。 従ってそこでは、社会が制度的に求めている、或は定めている様々なステレオタイプ、枠組み、レッテルというものを、 きちんと認識した上で、それらを無視し自分の立っている知の座標を見定めることのできるだけの方法論と知的体力が必要です。 また既存のアプローチでは理解したり、定式化したり、解く事の難しい問題を解決することのできる理論や技術の裏付けが必要とされます。 さらにそこでは歴史や社会や人間への深い理解が求められます。むろんそんなものが一朝一夕で身に付く訳はありません。 我々が求めるのはそういった志向性を持った人材です。自ら可能性の扉を閉ざさずに、必要とされる知は死にものぐるいで身につける。 また何が必要であり求められる知かを自らの知の座標軸を確立する作業を通じて自ら探求する。 そいうった意欲と知的体力を持った人材を我々は歓迎します。 システム科学は21世紀のリベラルアートとして、新たな人間社会の知の座標軸を構築するための様々な枠組みを提供してくれます。

出口研究室では、世界を語る言葉としての数理と、科学方法論を重視します。 これらについてはゼミや集中合宿を他の研究室とも合同で行っております。 しかし何より、自ら動いてこれらを身につけてください。 修士課程では、基礎的な知的体力のトレーニングと同時に、自分で積極的に探求する態度そのものを学習することが求められます。

SOARSプロジェクトに関して

出口研究室では、21世紀COEプログラム、エージェントベース社会システム科学の探究で、 SOARS(Social & Organizational ARchitecture Simulator)という大規模エージェントベースシミュレーション言語を開発致しました。 SOARSは、数エージェント間の複雑な相互作用モデルから、数万以上のエージェントが社会の中で行動するモデルまで、 エージェントベースのモデルを容易に構築し、シミュレーションし、 その結果のログを容易に解析することのできる次世代社会シミュレーション言語です。

そのためにSOARSでは、Model Builderという専用のシミュレーションエンジン、 Visual Shellという視覚的にアイコンを用い簡単にモデルを作成するツール、Animator というシミュレーション結果のアニメーション表示のツール、 Gaming Builder という、人間がWEBからシミュレーションに参加することのできる、 ゲーミングシミュレーションをマシンエージェントによるシミュレーションとハイブリッドで作成することのできるツール、 さらにData Explicatorというエージェントシミュレーションの結果得られる巨大なログ(例えば10億レコード)からログの構造を壊さないように 検索や必要な部分の抽出を行うことのできるツールがサポートされています。

更にSOARSでは大規模な社会実験を行うことができるように、実験計画の定式化ができ、 何十から何百のシミュレーションシナリオをまとめてシミュレーションする為にSOARS Potable Gridという環境が提供されています。 さらに現在のSOARS(Ver1.3 developer version)では、Javaの任意のJar fileをSOARSに容易に組込むことができ、 今まで開発したエージェントの相互作用や学習等のモジュールをSOARSに自由に組込むことができます。 またGAや学習のライブラリーも提供される予定です。

SOARSと出口研究室のつながり

SOARSは、www.soars.jpからダウンロードできます。マニュアルもあるのでぜひ使ってみてください。 なおSOARSはVer.1.2までは、Spot Oriented Agent Role Simulatorと呼ばれておりましたが、SOARS2.0(2008年秋リリース予定)からは、 Social & Organizational ARchitecture Simulator 更に、Service Oriented Architecture Simulatorと呼ばれるようになります。 出口研究室の修士論文では、このSOARSを使う研究が多くを占めます。 SOARSを使って今まで見た事も聞いた事もない社会経済のシステムモデルを構築し、 そのシミュレーション分析を行ってみてください。

プログラミングの知識は問わないわけではないのですが、必ずしも十分でなくても、これからやる気さえあれば間に合います。 我々はSOARS状で役割指向プログラミングという新しいプログラミングのスタイルを開発中です。 その前提として、Javaによるオブジェクト指向のプログラミング技術は推奨されます。

更に我々はアジャイルプログラミングのスタイルの一種としての、参加型プログラミングという方法論を開拓中です。 これは社会の実際の問題を抱えている専門家とコラボレートしてその場でモデルを構築し、プログラミングを行うプログラミングスタイルです。 社会の問題を目に見えるモデル化し、シミュレーションし、その結果やモデルを共有し、 社会の政策的なオプションの評価を行うという新しい社会的問題解決のスタイルを我々はSOARSプロジェクトを通じて模索しております。 出口研究室の学生さんは、自らの興味と修論のテーマに沿って様々な形でSOARSプロジェクトに関与することができます。

出口研究室ではシミュレーションだけを行っているわけではありません。 科学哲学から数理モデルまで様々な、社会経済システムに関する研究を受け入れます。 ただし、そこでは新たな知の地平を既存の枠組みにとらわれずに、十分な知的体力を持って取り組む姿勢が求められます。

産官学連携の研究プロジェクトについて

出口研究室では、産官学連携で実社会の様々な問題解決を実践的に行っております。 今年の4月からは内閣府経済社会総合研究所の客員主任研究員として、 国民経済計算の社会会計測定のための情報システムの再構築に取り組んでおります。 国民経済計算は社会をボトムアップに認識するためには必須の統計体系で、 社会のシミュレーションが現実にグラウンディングするためには必要不可欠の領域です。 また昨年からは国立感染症研究所や防衛医大と協力して、 天然痘のバイオテロのモデルや新型インフルエンザの公衆衛生モデルの構築にも取り組んでおります。 学生さんはこれら外部連係のプロジェクトからも多くの刺激を受けることができるでしょう。 さらに今年の4月から諏訪岡谷地域に産官学連携で設立された諏訪工業集積研究センター(SIARC)とも連係し、 分散型の産業構造のデザインにも協力しております。

最後に

近年、サービスサイエンス、マネージメント&エンジニアリングという領域が、ソフトな情報科学の新しい可能性として着目されております。 我々は21世紀の知の座標を構築する新たなリベラルアートの創成を、 サービス&コンテンツ領域のシステム科学の開拓を通じて行っていきたいと考えております。 そのためにも、こういった領域に関心を持ち、自ら資料を集め積極的に行動する人材を求めております。 我々が求めているのは、修士だけではありません。 社会人博士課程も募集しており、自らの問題を持って探求をされる社会人の方々も歓迎しております。

出口先生のインタビューが、早稲田塾webサイトに掲載されています。
是非、合わせてご覧ください。
インタビュー記事(外部サイトになります)

ページのトップへ
Copyright (C) Deguchi Lab. Since 2002. All rights reserved.
degulab[at]cs.dis.titech.ac.jp